レポ『地底迷路を征服』

出洞両ひざにサポーターを着け、その上からつなぎを着用。頭にはヘッドライトの付いたヘルメット。昔あこがれた川口浩ルックだ。埼玉県にほど近い群馬・上野村の矢弓沢(やきゅうざわ)洞窟が舞台となった。「中では走らない、跳ばない、急な動きをしない」 インストラクターの講義を受け、未知の世界へ。不安と高揚感。いざ冒険が始まる。
まずは地下水探し。すでに入口から狭く、くぐって進入したと思ったら、いきなり目の前に幅1.5mの竪穴が口を開いている。落ちたらどこまで行ってしまうのか・・・。自然が相手。緊張感だけは忘れてはならない。

竪穴この日の参加者は5人。インストラクターのアドバイスを受けながら、進む先はみんなで決めていく。ほふく前進、ある時は仰向けに寝転がりながらうねうねと前へ。全身を泥だらけにして、ようやく大きな空間にでたと思ったら一度見た場所。「戻ってきちゃいましたねえ」とインストラクターさん。コウモリがからかうように鼻先に飛んできた。ルートを考え、頭を使って進むのもこの遊びのポイント。涼しい空間なのに額には汗。きっと冷や汗ってやつだろう。
気を取り直し、新たな穴を見つけてくぐると、やがて水の流れる音。焦らず、足元を確認しながら歩を進めると目の前に小さいな滝が出現した。冷たさ、清涼感たっぷりの流水音に疲れが一気に吹き飛んだ。

狭洞ケイビングは3点確保が不可欠。両手足4点のうち3点で体を支え、残りの1点を動かすというものだ。昼食後、最深部をめざした後半戦ではこの基本動作が重要となった。難易度は上がり、突起物のない高い壁が行く手を阻む。太腿、ひじ、時には肩などを使って3点を確保しながら、少しずつ上を目指す。ずり落ちても動きはやめない。「頑張れ」。他の参加者の励ましが力となる。

登り切ると今度は内視鏡で見るような筒状の通路が出現。まるで体内。体をひねって下りながら、その先に見えたのは地底の宮殿だった。

鍾乳石広がる巨大ホール。つららや、石柱。石灰が星のように光っている。あきれるほど長い時間が作り出した美の世界。試練の後のご褒美だろうか、自然の懐の深さを感じずにはいられなかった。

4時間の行程。顔まで泥だらけになった自分の姿が誇らしい。ジメジメと暑い現実を忘れさせてくれた夏の思い出。全身にできた無数のアザのように、しばらく消えることはないだろう。